シダ植物に関する新しい
コミュニティ主導型分類体系

ニッタ ジョエル

東京大学・大学院新領域創成科学研究科・先端生命科学専攻

日本植物分類学会第22大会 A01
2023.03.03

https://joelnitta.github.io/jsps-2023-03-03
https://www.joelnitta.com

QR code pointing to https://github.io/jsps-2023-03-03

分類体系は進化生物学に欠かせない

リンネから始まって
今まで…

Cover of Systema Naturae
https://en.wikipedia.org/wiki/Carl_Linnaeus

APG

  • Angiosperm Phylogeny Group
    (被子植物系統グループ)
  • 1998年〜
  • 今まで４回くらい大きな
    改訂があった

http://www.mobot.org/MOBOT/research/APweb/

APG tree

PPG

  • Pteridophyte Phylogeny Group
    (シダ植物系統グループ)
  • 2016年〜
  • 引用数1,102回*
  • まだ一度もアップデート
    されていない
  • すでに様々な変更が必要

*2023年2月24日、google scholarによる

PPGI publication cover page
Pteridophyte Phylogeny Group I (2016) JSE 54:563–603.0 https://doi.org/10.1111/jse.12229

PPG

  • Pteridophyte Phylogeny Group
    (シダ植物系統グループ)
  • 2016年〜
  • 引用数1,102回
  • まだ一度もアップデート
    されていない
  • すでに様々な変更が必要

PPGI family level phylogeny

PPG

  • Pteridophyte Phylogeny Group
    (シダ植物系統グループ)
  • 2016年〜
  • 引用数1,102回
  • まだ一度もアップデート
    されていない
  • すでに様々な変更が必要

PPGI family level phylogeny

PPG

これらの分類群を認めるかどうか、議論する必要あり

PPG IIの特徴

  • 種レベル
  • オンライン
  • 常に更新されていく
  • コミュニティ型
    （誰でも参加できる）

alt-text
親属 Rouxopteris
Liu H et al. (2020) Plant Syst Evol 306:30
https://doi.org/10.1016/j.ympev.2018.04.038

タイムライン

  • 2016年: PPG I
  • 2020年: そろそろPPG IIを作らなきゃ・・
  • 2022年11月
    • 元のPPG IメーリングリストにPPG II作成を発表する
    • 新しいメンバーの募集を始める
  • 2023年2月：GitHubでの討論のテストを行う

コミュニティ

合計183人、日本から9人（2023年2月23日）

分類群の討論

  • PPG I：メール
    • 不透明
    • 記録が残らない
  • PPG II: GitHub
    • オープン（誰でも参加できる・見える）
    • 永遠に残る（GitHubが存在している限り）
      • 反対意見の可視化

分類群の討論

  • 一つの提案ずつ一つのIssue（イシュー）を作る
  • イシューで議論する
  • 定期的に投票を行う（メーリングリストのみ）
  • 現在はテストを行なっている：https://github.com/pteridogroup/ppg-demo

talking woman talking woman talking woman talking woman talking woman

https://github.com/pteridogroup/ppg-demo/issues

Issues list

https://github.com/pteridogroup/ppg-demo/issues/1

Comments on an issue

データはどこから来るのか？

  • PPG I: 属レベル、約300件
  • PPG II: 種レベル、6万件以上
  • 種名データはすでにマイケル・ハスラーによって
    集計されている

World Ferns

  • 独立研究者、
    マイケル・ハスラー
    により管理
  • 約1万3千種
  • 約5万シノニム
  • PPG I以降の変更も
    入っている

World Ferns logo
https://www.worldplants.de/world-ferns/ferns-and-lycophytes-list

Darwin Core Taxon (DWC) 形式

  • GBIFなど大きなデータベースに使われている
  • CSVファイルに収まる
  • １行＝一分類群
  • 私が開発しているRパッケージ「dwctaxon」で管理（https://github.com/joelnitta/dwctaxon）

https://dwc.tdwg.org/terms/#taxon

Screenshot of DWC terms

データの例

Example of data in DWC format

合計66,573件

https://github.com/joelnitta/dwctaxon

Screenshot of DWC taxon

今後の課題

  • PPG Iからの変更点を全部リストアップして、
    討論して、投票する
  • World Fernsのデータとの合流
  • Fern Tree of Life (Nitta et al. 2022、JSPS第21回大会)
    との合併
    • 自動的に単系統群かどうかを感知

検討課題

  • 種の検討、討論はどうするべきか？
    • 各種毎の投票は不要（無理）か？
    • 属レベル（など）で委員会を決めて、
      管理を任せるべきか？

参加者募集中


シダ植物の分類に興味のある方は是非ご参加ください！


nitta@edu.k.u-tokyo.ac.jp

ご清聴ありがとう
ございました

謝辞

  • Michael Hassler
  • Eric Schuettpelz
  • Harald Schneider
  • Carl Rothfels
  • シダ植物コミュニティの
    皆様
  • 東京大大学院新領域創成科学研究科学
    岩崎研究室メンバー

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